社会福祉士養成カリキュラムに対するパブリックコメントを提出しました。
「社会福祉士介護福祉士学校指定規則及び社会福祉に関する科目を定める省令の一部を改正する省令(案)について(概要)」(2019年12月20日)に関する御意見の公募に対し、下記のように意見を提出いたします。
提出主体は「社会事業史学会理事・監事会」です。
記
「社会福祉士介護福祉士学校指定規則及び社会福祉に関する科目を定める省令の一部を改正する省令(案)について(概要)」において、「社会福祉の原理と政策」が明確に位置づいたことに一定の評価をいたします。
その上で、3点の意見を提出いたします。
1つ目は、カテゴリーの名称および科目の順番、2つ目は時間数について、3つ目は、社会福祉士養成カリキュラムにおける歴史学習の意義についてです。
1つ目:カテゴリーの名称および科目の順番について
「社会福祉士養成課程」において、そのカリキュラムの順番の筆頭は「医学」、「心理学」、「社会学」ではなく、「社会福祉士の意義等に関する科目」であると考えます。原案のなかの、「ソーシャルワークの基盤と専門職」が該当します。
次いで2番目が、「社会福祉の基礎理論に関する科目」で、原案のなかの、「社会福祉の原理と政策」が該当します。
3番目が、「社会福祉援助の基礎理論に関する科目」で、「医学概論」、「心理学と心理的支援」、「社会学と社会システム」に該当します。
2つ目:時間数について
「社会福祉の原理と政策」は「社会福祉の基礎理論に関する科目」とカテゴライズし、その内容は、「原理、思想、歴史、哲学、理論」(歴史)と「社会問題、社会構造、ニーズ、福祉政策、福祉政策動向、福祉サービス、福祉政策の国際化」(政策)に2分し得ます。この2つのカテゴリーは社会福祉士養成の基礎理論として厚い研究の蓄積もあり、時間数の増加が必要と考え、合わせて90時間とすることを提案いたします。
3つ目:社会福祉士養成カリキュラムにおける歴史学習の意義について
「歴史」を学ぶことにより、現時点での社会構造的不合理「不平等や差別を生み出す社会構造がどうやって形成されてきたのか」ということや、社会変革への不断の努力を行っていく必要があることを学ぶことができます。またそこでは、ソーシャルワーカーの国際定義にも含まれるソーシャルワーカーの寄って立つ価値「社会正義の実現」とそれに基づく実践の態度「個人の尊厳を守ること」の哲学や思想の形成と意義についても学ぶことになります。
今回のカリキュラム改正案が果たしてソーシャルワークのグローバル定義を充足しているのかどうか、さらなる検討が必要と思われます。
以上の3つの意見をまとめたものが下記のような内容になります。
まとめ
1.社会福祉士の意義等に関する科目(30時間)
(ソーシャルワークの基盤と専門職)に該当
2.社会福祉の基礎理論に関する科目(90時間)
(原理、思想、歴史、哲学、理論)
(社会問題、社会構造、ニーズ、福祉政策、福祉政策動向、福祉サービス、福祉政策の国際化)に該当
3.社会福祉援助の基礎理論に関する科目(90時間)
(「医学概論」、「心理学と心理的支援」、「社会学と社会システム」)に該当
これ以外の項目については、コメントはあるものの、詳細は省略し、上記の諸点についてのみ意見を提出いたします。
2020年1月8日
パブリックコメント提出者 社会事業史学会理事・監事会
社会事業史学会主催「第1回 秋の研究会2019」が開催されました。
日 時:2019年12月8日(日)13:00~15:30
場 所:花園大学 自適館(じてきかん)201教室
テーマ:「社会事業史学会50周年にむけて─今後の学会の役割と歴史研究の魅力を語る─」
参加者:会員、非会員を含めて26名の参加者。
プログラム:
12:00 理事監事集合
12:30 受付
13:00―13:10 開会の言葉
13:10-14:00 杉山博昭会員による報告
「社会事業史学会50周年にむけて─今後の学会の役割と 歴史研究の魅力を語る─」
14:00-14:45 グループ討議
14:45-15:30 全体討議
15:30 閉会
趣 旨:社会事業史学会の新企画として、「秋の研究会」を開催します。前会長の時より、秋の企画が欲しいという声があがっていましたが、それを具体化いたしました。学会の大きなイベントは学会大会で、これは春5月に開催校の企画によって行われます。これに対し、「秋の研究会」は会員のみな様や学会理事監事の企画で、小規模かつ独自のテーマや開催方法を工夫して実施していこうとの試みです。この「秋の研究会」をどのように運営するかは、みな様のご意見を反映させて決めていきたいと考えておりますが、柔軟な運営こそが「秋の研究会」の狙いです。そして予算も規模は小さいですが組んでいく予定です。「3人寄れば、仲間を集めて開催できる!」そんな気軽なそして自由な議論と発想をこの研究会で密度濃く行い、また状況が許せば、海外からの研究者を招いて大きな研究大会の開催も可能としておくなど、「秋の研究会」を柔軟に運営することを通じて、社会事業史/社会福祉史の学術研究の向上と研究仲間の育成・交流を図っていきたいものです。みなさまのご支援とアイディア、ご協力をお待ちしています。
参加の感想と報告
この度、社会事業史学会の新たな企画である「第1回秋の研究会」を開催いたしました。
テーマは、1973年に発足した社会事業史研究会から50周年を迎えようとしている本学会の未来を射程に入れ、杉山博昭会員から「社会事業史学会50周年にむけて─今後の学会の役割と歴史研究の魅力を語る─」の報告をいただきました。1で、本学会の変遷、社会福祉や社会福祉学領域の変遷や課題を、等身大の視点から前置きされたあと、2.社会事業史研究の閉塞感、3.社会事業史研究の可能性と限界、4.今、社会事業史を研究する意義、5.まとめ、という5つの柱で構成された報告でした。社会福祉や社会事業史研究の動向を前にして、閉塞感や歴史軽視の世相を指摘され、先生の憤りと強い問題意識は先生の新書版の著書『福祉が壊れる』(冬幻舎 2018)と重なって、強いメッセージ性をもっていると思いました。
こうした報告を受けて、研究会はグループ討議に入りました。4グループの討議内容は全体会で報告され、歴史研究の方法論、意義、社会福祉の価値、時期区分、当事者研究、ユダヤ的歴史観、歴史・哲学から学ぶ、社会事業史研究の学術としての弱さ、第一線で働く現場人の意識の弱さ、研究者と現場人と当事者の研究交流の必要性、などなどが議論の俎上に載りました。グループはくじ引きによる偶然に顔を合わせた5~8人の小集団でしたが、かなりの盛り上がりを見せ、研究会への感想はまずまずの評価でした。参加者は会員、非会員、NPO法人の運営者、公務員のソーシャルワーカー、博物館研究員、大学院生、大学関係者などで年齢も老若男女の顔ぶれとなり、多くの参加者が話し合いから充実感を感得されたようでした。この成果から、来年度以降も「秋の研究会」は継続される見込みです。
会場を提供され、諸準備をしてくださった花園大学のみな様に、心よりの感謝を申し上げます。
(大友昌子)
第9回韓国社会福祉歴史学会秋期学術大会への参加報告
日 時:2019年11月15日(金)10:00~18:00
場 所:韓国ソウル市内 孝昌(Hyochang)綜合社会福祉館
テーマ:日帝強占期の社会事業
主 催:韓国社会福祉歴史学会
構 成:全体会 自由発表2、企画主題報告5、総合討論
報告者は韓国5人、日本2人で、参加者は日本からの6名を含む38人程でした。
報 告:自由発表と企画報告
<自由発表>
1.創立30周年、社会福祉専担公務員制度の発展過程― 金鎭學 (公共福祉政策研究所, 所長)
2.植民地朝鮮における日本人キリスト者の宣教活動に関する一考察―鎌倉保育園京城支部(龍山区厚岩洞)における曽田嘉伊智の働きを中心として―金清洛(同志社大学神学研究科博士前期課程)
<企画報告>
1.日帝強占期の社会事業の概念と談論―(趙成殷, 韓國保健社會硏究院 硏究委員)
2.植民地朝鮮の児童保護史―田中友佳子(九州大学・学術協力研究員)
3. 日帝の感化事業性格に関する研究―朴貞蘭(仁濟大,教授)
4.鎌倉保育園京城支部【龍山区厚岩洞】の活動実態に関する研究」― 佐竹要平(日本社会事業大学, 准教授)
5.植民地朝鮮における日本仏教の社会事業に対する考察― 諸点淑(東西大,教授)
<総合討論>
1. 朴宗三 (崇実大、名譽敎授)
2. 咸世南 (江南大、名譽敎授)
3. 姜日朝 (孝昌綜合社会福祉館、 館長)
4.金炳参(永楽保隣院、院長)
5. 申惠玲 (韓國兒童福祉學會,理事)
参加の感想と報告
本年5月の学会総会において、社会事業史学会は韓国社会福祉歴史学会と学術交流の「覚書」を締結しました。今回は締結後初めての韓国社会福祉歴史学会秋季学術大会への参加となり、社会事業史学会からは6人の会員(大友昌子、西﨑緑、佐竹要平、田中友佳子、宇都宮みのり、咸麗珍)が参加しました。韓国側参加者を含めて、およそ38人の参加者数でした。
学会テーマは「日帝強占期の社会事業」で、日韓関係が最悪と言われる現在の政治状況のなかで、勇気あるテーマ設定であったと思います。報告内容をピックアップしますと、公共福祉政策研究所所長金鎭學氏は、韓国の社会福祉専門公務員の市町村配置が1989年に開始され、2年間の全国的な教育研修を実施して、現在は社会福祉士の有資格者を中心に23,000人の公務員が配置されているとのこと。社会福祉専門職第一世代がリタイアの時期を迎え、記録の必要性が浮上しています。もう一人、韓國保健社會硏究院硏究委員趙成殷氏は、1920年代の「社会事業」の概念と言説を取りあげ、日本の文献の言説とともに韓国の雑誌などを資料に考察しました。朴貞蘭氏(仁濟大教授)の報告では、日帝時代の感化事業について整理された鋭い分析とそれに基づく考察がなされていました。これらの韓国側の報告内容については、より詳細な通訳があれば内容を十分に理解できたと思いますが、大変残念でした。日本の会員田中友佳子氏(九州大学・学術協力研究員)は、近著を踏まえ、「植民地朝鮮の児童保護史」を現地の言語で報告しました。これは大変画期的なことで、今後こうした両国を知る研究者による共同研究が進むことを願った次第です。鎌倉保育園京城支部をめぐっては、2つの研究報告がなされました。「植民地朝鮮における日本人キリスト者の宣教活動に関する一考察―鎌倉保育園京城支部(龍山区厚岩洞)における曽田嘉伊智の働きを中心として」が金清洛氏(同志社大学神学研究科博士前期課程)によって、また「鎌倉保育園京城支部【龍山区厚岩洞】の活動実態に関する研究」が佐竹要平氏(日本社会事業大学准教授)によって報告されました。植民地下の日本人による活動を、どう評価するのか、韓国内では難しい課題ですが、いずれの報告も客観的であることを研究方針としており、聴衆の受け止め方も概ね好評でした。最後は「植民地朝鮮における日本仏教の社会事業に対する考察」で 諸点淑氏(東西大学教授)が、植民地下の隣保館的な働きをした仏教系の「向上会館」の活動について図表などを駆使した優れた分析をされました。韓国社会に支配者として内在した実践者たちという指摘があり、視点や分析方法が明確であることの重要性がこの報告から浮上したと思います。総合討論では、朴宗三氏(崇実大学名譽敎授)の発言について通訳から聞き取れた範囲で言及しますと、韓国社会福祉歴史学会が始まって以降、韓国社会福祉の歴史研究の急速な進展が見られること、アメリカ宣教師などの活動については整理されているが、日帝時代の社会事業の研究は少なく、この時代の客観的で科学的な確認が必要であるとの主張がなされていました。また、社会事業概念の検討など、研究テーマが拡大していることも評価されていました。大友の経験ですが、植民地研究をすることは、日本について研究することなのです。この日本とその隣国にとって最悪の時代でありました帝国主義の時代を正視し、冷静で客観的な認識を深めることが、両国の人々にとって重要であることはいうまでもないでしょう。
今後両国の学会の学術交流に加え、中国も含めて三国の学術交流が進む方向で展開することと思います。なお、学会終了後、韓国社会福祉歴史学会総会に参加の機会を得ました。そこで次年度以降の新たな会長にCHOI WON GYU氏(全北大学校教授)が2020年1月より2年間の任期で就任されることが決まりました。
今回の学会開催準備と社会事業史学会への深い配慮とおもてなしに、金会長はじめ韓国社会福祉歴史学会の皆様に、心より感謝を申し上げます。(大友昌子)
社会事業史学会主催「秋の研究会」2019 趣旨とプログラム[改訂]
趣旨
社会事業史学会の新企画として、「秋の研究会」を開催します。前会長の時より、秋の企画が欲しいという声があがっていましたが、それを具体化いたしました。学会の大きなイベントは学会大会で、これは春5月に開催校の企画によって行われます。これに対し、「秋の研究会」は会員のみな様や学会理事監事の企画で、小規模かつ独自のテーマや開催方法を工夫して実施していこうとの試みです。この「秋の研究会」をどのように運営するかは、みな様のご意見を反映させて決めていきたいと考えておりますが、柔軟な運営こそが「秋の研究会」の狙いです。そして予算も規模は小さいですが組んでいく予定です。
「3人寄れば、仲間を集めて開催できる!」そんな気軽なそして自由な議論と発想をこの研究会で密度濃く行い、また状況が許せば、海外からの研究者を招いて大きな研究大会の開催も可能としておくなど、「秋の研究会」を柔軟に運営することを通じて、社会事業史/社会福祉史の学術研究の向上と研究仲間の育成・交流を図っていきたいものです。
みなさまのご支援とアイディア、ご協力をお待ちしています。
☆
日 時:2019年12月8日(日) 13:00─15:30
場 所:花園大学 自適館(じてきかん)201教室
テーマ:「社会事業史学会50周年にむけて─今後の学会の役割と歴史研究の魅力を語る─」
プログラム
12:00 理事監事集合
12:30 受付
13:00―13:10 開会の言葉
13:10-14:00 杉山博昭会員による報告
「社会事業史学会50周年にむけて─今後の学会の役割と歴史研究の魅力を語る─」
14:00-14:45 グループ討議
14:45-15:30 全体討議
15:30 閉会
中国湖南省長沙で開催の「中国慈善歴史学会」への参加報告
日 時:2019年10月19日(土)-20日(日)
場 所:湖南省長沙市 湖南佳興世酒店 会議場
テーマ:回顧と展望 中国慈善史研究の理論と実践 学術検討会
主 催:湖南師範大学・湖南省慈善総会
構 成:全体会(報告者10人)分科会(報告者52人)の報告、政府職員や慈善団体職員向けの講義(講義4人)
報告者はアメリカ、オランダ、韓国、台灣、日本、香港そして中国本土各地などからで、国際学会にふさわしい構成でした。研究者95人に加えて政府や慈善団体関係者の人数として141人、総勢236人の参加という規模でした。
報 告:全体会では海外からの報告者を中心に10人の報告があり、日本からの参加者は会長大友と西﨑緑国際交流委員会委員長の2人で、タイトルは次のようです。
大友昌子:東アジアにおける福祉文化的基盤―前近代中国台湾地域・朝鮮半島・日本の比較研究
西﨑 緑:南メソジスト監督教会女性海外伝道協会と中国における慈善活動
参加の感想と報告
この度発足した「中国慈善歴史学会」は大きく中国社会史学会の傘下に位置づけられています。今後、本学会としての学術交流を進めるとすれば、この「中国慈善歴史学会」がその単位で、会長は周秋光氏(湖南師範大学歴史文化学院・湖南師範大学慈善公益研究院院長)です。学会総会では、何度も学会の成立と共に、中・韓・日の海外との学術交流の必要性が周会長から述べられていました。
分科会の研究領域をみると、1949年中華人民共和国発足後の中国での慈善史研究は1980年代から開始され、近年急速に拡大しているとのことです。歴史研究者、人類学者、歴史社会学者、哲学・思想などからのアプローチがあり、バラエティに富んでいましたが、概ね、各地域の慈善活動の分析、施設史、人物史の内容が目立ちました。対象時期は近代中国を中心に、宋、明、清などがありました。
報告のなかから注目点をあげますと、ジョージ・ワシントン大学名誉教授エドワード・マッコード氏の報告”Tracing the Development of Western Studies on the Modern History of Chinese Philanthropy”によると、欧米における近代中国慈善博愛史関連研究数は、1970年代に5、1980年代に3、1990年代に10、2000年から2019年までに76件と急増し、最近20年間での中国への注目度が上がっています。また、近年の欧米での慈善博愛史研究の盛り上がりを反映して、オランダのアムステルダム自由大学のパマラ・ウィップキン教授の”Did it Trickle down ? : Major Donors in the Golden Age in the Netherlands (16th―17th Century)” の報告では、オランダが隆盛であった時期の慈善博愛事業における寄付者の階層別、性別、職業別等の慈善行為や寄付金額を絵画やグラフを使って分析していたのは、興味をひきました。こうした欧米の慈善博愛研究の盛り上がりは、福祉国家の構築から福祉社会への転換という大きな福祉システムの世界的の流れのなかで、その限界を打破するための試みとしての慈善博愛研究と思われますが、後発の福祉国家にとっては、その政治的含意の動向に注意を払いたいものです。
周秋光氏の研究動向の「回顧と展望」はその概要を下記に掲載しますが、中国における近年の研究の適切な現状分析が行われていたと思います。「慈善史」という用語の妥当性や概念については、いろいろな議論があるようですが、その底には「社会主義体制下の慈善」という政治的な新たな方向性を示しており、政府や行政に軸足を置いた体制から、民間慈善活動の見直し、復活、振興などが底流にあるようでした。「中国慈善歴史学会」の発足にとって、欧米の慈善博愛史研究の流行とちょうど時期が重なったのも、千載一遇といえましょう。
国際会議の開催力において、この度の国際学会はとても優れており、大いに学びました。
会場のセッティング、会議の進め方、CGやインターネット技術を駆使した展開などに目を見張りました。報告はパワーポイントでしたが、パワポの大画面には、日本語とともに中国語訳が付いていました。また私たちに付いてくれた日本語のボランティアは、湖南師範大学2年生の日本語科の女子学生2人で、この方達も力がありました。国際会議場は宿泊施設でもあったのですが、空港出迎えから受付、資料、全体会、分科会ともに万端の準備と配慮がなされていました。こうした学会の国際的な力も必要なことを実感した次第です。こうした面も、本学会としては考えていかなければならないことを、痛感しましたが、もちろん、潤沢な資金が背景にあることを大いに窺わせるものでした。
湖南省長沙の発展、変貌は猛烈で、何度も西﨑先生と大友は驚嘆の声を発しました。ぜひとも、多くの会員に中国をみなければ世界は語れない!ということを実感して欲しいと思いました。最終日の夕食後、韓国社会福祉歴史学会金会長も含めて数人で今後の学術交流の可能性について話し合いました。詳細は、国際交流委員会から次回の理事監事会に報告、提案がある予定です。
また、今回は新たな学会の設立ということで「招待」という厚遇をいただきました。あわせて「中国慈善史学会」および周秋光会長に心よりの感謝をお伝え申し上げます。
周秋光先生によるシンポジウムのまとめ「中国慈善史研究の出発」の概要
中国の慈善史研究は、過去十数年間の学際的研究により大きく発展した。しかし1)慈善の統一的概念、2)古代と現代の研究、3)東北、西北、西南地域の研究、4)慈善の実践を取り巻く様々な関係の研究、5)慈善の研究方法、6)中国人の立場からの慈善理論、に関する研究が不十分である。その克服のために、1)慈善に関する史資料の整理と研究成果の出版を学界全体で急いで実現すること、2)自然科学も含めた幅広く多元的な慈善史研究を進めること、3)当事者の生活を研究する社会史研究を盛んにすること、4)中国人の立場からの解釈をもとにした慈善史研究理論を確立すること、5)時代的には古代、現代、地域的には東北、西北、西南、そして在外華僑の援助に関する研究を進めること、6)慈善の地方史研究を中国全体を視野に入れたマクロな視点で統合すること、7)人間本位の慈善史研究を進めること、8)歴史研究の成果を現在の慈善に生かすこと、9)国内外の学術交流を盛んにして中国慈善史研究を発展させるとともに後継者を育成すること、を私は提案し、中国慈善史学会の設立を呼び掛けたのである。 (大友昌子・西﨑 緑)
日本・韓国における学術交流の推進に関する覚書を掲載しました。
詳しくは「国際・学術」をご覧ください。
韓国社会福祉歴史学会との学術交流 (2019/9/26)
日本・韓国における学術交流の推進に関する覚書
社会事業史学会主催「秋の研究会」の場所のご案内
日 時:2019年12月8日(日) 13:00-15:30
場 所:花園大学(自適館 201教室、時計台のある3階建の建物です。)
テーマ:「社会事業史学会50周年にむけてー今後の学会の役割と歴史研究の魅力を語るー」(仮題)