国際交流プレシンポジウム「東アジア諸国における災害福祉の歴史」の開催について(再掲)←終了しました

*日時 2017年11月18日(土)13時30分~17時00分
*場所 日本女子大学目白キャンパス百年館104教室
*シンポジスト

周秋光氏(中国湖南師範大学)
金範洙氏(韓国社会福祉歴史学会)
菊池義昭氏(日本東日本国際大学)

*趣旨説明

「東アジア諸国における災害福祉の歴史」シンポジウムに向けて

日本は自然災害の多い国です。2011年3月に発生した東日本大震災は、1000年に1度という規模で東北地方を襲い、甚大な地震・津波被害とともに福島原発が壊滅し、原子力発電の危険性を改めて世界に示す人的災害となりました。すなわち、「天災」が同時に「人災」を引き起こすことを、われわれは目の当たりにしました。
こうした過酷な経験を通して、日本では「災害福祉」「災害ソーシャルワーク」という領域の研究が立ち上がり、注目を集めています。近代以降の日本の社会福祉の歴史をふりかえりましても、災害にともなう孤児の発生や家屋の喪失さらには戦争などの大規模災害は、社会福祉実践や社会福祉政策を惹起する大きな要因でもあったことが明らかです。
災害には地震、台風、火山噴火などの自然災害と、労働災害、交通災害、船舶事故、原発事故、そしてその極限に動乱や戦争による人的災害の2つがあります。自然災害にしぼって見てみますと、「人間の安全保障」の視点から研究を行っている国連大学環境・人間の安全保障研究所『世界リスク報告書2016年版』が次のように報告しています。2016年度の自然災害発生数ランキングは、世界171カ国の中で1位 インド(17件)、2位 アメリカ合衆国(16件)、3位 インドネシア(13件)、4位 中国(10件)、5位 日本・パキスタン(9件)となっており、アジア地域における発生数が高いことがわかります。なかでも日本の自然災害は国土面積からみても発生割合が高いといえましょう。一方、自然災害が引き起こす被害状況は社会的なインフラ整備や対策レベルによって大きく異なってくること、また都市部と郡部の相違、階層差、年齢差、障害の有無や身体の虚弱度などによって、被害の度合いに較差が生じることが、今日、明らかとなっています。
こうした「災害福祉」を歴史的に検証し、災害発生時の支援や対策のあり方、行政や民間の役割、非組織の近隣関係や、人々の連携のあり方、また国際支援など、被害発生要因の究明も含めて、東アジアスケールで歴史的な検証を行い、「災害福祉」の価値や考え方を共有し、今後も発生するであろう災害に知恵を出し合い、最小限の被害にとどめる方法について議論を深めていくことが、本シンポジウムの趣旨であります。
このシンポジウムを契機として、東アジア、さらにはアジアから世界へと「災害福祉」研究の重要性を発信していくことができればと願っています。

2017年11月18日
社会事業史学会会長 大友 昌子

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*お問い合わせ先
社会事業史学会国際交流委員会 西崎緑
nisizaki[at]hmn.shimane-u.ac.jp [at]を@に置き換えてください

電話 0852-32-9053