社会事業史学会主催「第1回 秋の研究会2019」が開催されました。

日 時:2019年12月8日(日)13:00~15:30
場 所:花園大学 自適館(じてきかん)201教室
テーマ:「社会事業史学会50周年にむけて─今後の学会の役割と歴史研究の魅力を語る─」
参加者:会員、非会員を含めて26名の参加者。
プログラム:
12:00      理事監事集合
12:30      受付
13:00―13:10  開会の言葉
13:10-14:00  杉山博昭会員による報告
「社会事業史学会50周年にむけて─今後の学会の役割と 歴史研究の魅力を語る─」
14:00-14:45  グループ討議
14:45-15:30   全体討議
15:30       閉会
趣 旨:社会事業史学会の新企画として、「秋の研究会」を開催します。前会長の時より、秋の企画が欲しいという声があがっていましたが、それを具体化いたしました。学会の大きなイベントは学会大会で、これは春5月に開催校の企画によって行われます。これに対し、「秋の研究会」は会員のみな様や学会理事監事の企画で、小規模かつ独自のテーマや開催方法を工夫して実施していこうとの試みです。この「秋の研究会」をどのように運営するかは、みな様のご意見を反映させて決めていきたいと考えておりますが、柔軟な運営こそが「秋の研究会」の狙いです。そして予算も規模は小さいですが組んでいく予定です。「3人寄れば、仲間を集めて開催できる!」そんな気軽なそして自由な議論と発想をこの研究会で密度濃く行い、また状況が許せば、海外からの研究者を招いて大きな研究大会の開催も可能としておくなど、「秋の研究会」を柔軟に運営することを通じて、社会事業史/社会福祉史の学術研究の向上と研究仲間の育成・交流を図っていきたいものです。みなさまのご支援とアイディア、ご協力をお待ちしています。

参加の感想と報告
この度、社会事業史学会の新たな企画である「第1回秋の研究会」を開催いたしました。
テーマは、1973年に発足した社会事業史研究会から50周年を迎えようとしている本学会の未来を射程に入れ、杉山博昭会員から「社会事業史学会50周年にむけて─今後の学会の役割と歴史研究の魅力を語る─」の報告をいただきました。1で、本学会の変遷、社会福祉や社会福祉学領域の変遷や課題を、等身大の視点から前置きされたあと、2.社会事業史研究の閉塞感、3.社会事業史研究の可能性と限界、4.今、社会事業史を研究する意義、5.まとめ、という5つの柱で構成された報告でした。社会福祉や社会事業史研究の動向を前にして、閉塞感や歴史軽視の世相を指摘され、先生の憤りと強い問題意識は先生の新書版の著書『福祉が壊れる』(冬幻舎 2018)と重なって、強いメッセージ性をもっていると思いました。
こうした報告を受けて、研究会はグループ討議に入りました。4グループの討議内容は全体会で報告され、歴史研究の方法論、意義、社会福祉の価値、時期区分、当事者研究、ユダヤ的歴史観、歴史・哲学から学ぶ、社会事業史研究の学術としての弱さ、第一線で働く現場人の意識の弱さ、研究者と現場人と当事者の研究交流の必要性、などなどが議論の俎上に載りました。グループはくじ引きによる偶然に顔を合わせた5~8人の小集団でしたが、かなりの盛り上がりを見せ、研究会への感想はまずまずの評価でした。参加者は会員、非会員、NPO法人の運営者、公務員のソーシャルワーカー、博物館研究員、大学院生、大学関係者などで年齢も老若男女の顔ぶれとなり、多くの参加者が話し合いから充実感を感得されたようでした。この成果から、来年度以降も「秋の研究会」は継続される見込みです。
会場を提供され、諸準備をしてくださった花園大学のみな様に、心よりの感謝を申し上げます。
(大友昌子)