「日本学術会議幹事会声明『これからの大学のあり方-特に教員養成・人文社会科学系のあり方-に関する議論に寄せて』を支持する」と題する社会事業史学会理事会声明が出されました。左のバナーの「声明」にも掲載しましたのでお知らせいたします。
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日本学術会議幹事会声明「これからの大学のあり方-特に教員養成・人文社会科学系のあり方-に関する議論に寄せて」を支持する
日本学術会議幹事会は、2015年6月8日の文部科学大臣通知「国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて」に対し、同年7月23日「これからの大学のあり方-特に教員養成・人文社会科学系のあり方-に関する議論に寄せて」1)と題する声明を行った。本学会理事会はこの日本学術会議幹事会声明を基本的に支持するとともに、ここに意見表明を行うこととした。
今日、社会福祉学系の大学教育はその多くを私立大学が担っているが、文部科学大臣通知は日本の学問・学術のあり方および大学教育に大きく影響する内容を含むことに鑑み、社会福祉学系の教育・研究にたずさわる責務から、人文社会科学系教育の重要性とその意義をめぐる本学会理事会の見解を公にしたい。
1.人文社会科学系の研究・教育は、人間と社会のあり方を根本的に問う学問・学術として、重要な意義を有し、高等教育のうちに明確に位置づけられなければならない。人文社会科学系の見直しを含む文部科学大臣通知への危機感を表明した日本学術会議幹事会声明を本学会理事会は支持する。
2.社会福祉は、歴史的社会的存在であり、時代社会の構造的変動の過程において、必然性をもって生起する生活上の諸問題を対象として営まれるものである。そのため社会福祉学では、課題を発見・認識し、これを社会構造との関連で問題として理解し、人々の課題をその人の問題として捉え直すところから学びが始まる。そこで求められるのが歴史的思考である。
また、社会福祉系の大学等において実施されている専門職養成は、バランスのとれた科学的で創造的な学問・学術および思考力によって支えられる。とりわけ、歴史的思考は人と社会を構成する多様な要素やそれらの相互作用を理解し、問題が生成されるメカニズムを認識し、同時にそこに現象する人間の尊厳とはなにかを見定める統合的な視野と方法、そして判断力を提供することができる。
こうした観点から、人文社会科学系の一領域である歴史系教育が社会福祉系教育の基礎として重要であることをここに表明し、この見解を広く共有していきたい。
注1) www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-23-kanji-1.pdf参照
2015年9月30日
社会事業史学会理事会