学会概要

会長挨拶

  2015.5.10 総会での会長挨拶

 本学会は1973年5月に社会事業史研究会として、初代会長の吉田久一先生、一番ケ瀬康子先生、高島進先生等21人の発起人の先生方のお力によって発足いたしました。それから40年あまりを経ましたが、この間、1998年に社会事業史学会へと改組され、社会福祉学界における歴史研究者の拠点として、また社会福祉学界における学術研究の一領域として今日まで発展して参りました。そして前会長の永岡正己先生には8年間にわたり歴史研究をリードされるとともに、今日の学会としての体制の礎を築いていただきました。さらに本学会には吉田久一先生をはじめとする篤志をお寄せ下さった先人達がおられます。

 本学会は、この学会に参集し、その歩みを支えてこられた多くの研究者のみなさま、学会員のみなさまの学術研究への強い意欲と高い精神性によって支えられてきたと確信いたしております。この度、自らの非力さを顧みず会長職を拝命いたしましたが、学会の発展に微力ながら力を尽くしたいと考えております。みなさまのご指導とご協力を引きつづき賜りたく、なにとぞよろしくお願い申し上げます。

 本学会の目的は学会規約第3条に明記されますように「社会事業史の研究を通じ、社会福祉の科学的研究を高め、民主主義に基づいた日本社会福祉の進展に資すること」であります。今日、発展・変貌する社会福祉の動向を見極め、歴史研究の立場からその方向性を吟味し、真に人々の生活に寄り添うための問題意識を共有しつつ、本学会が設立当初から掲げてきた理念をみなさまと共に継承し、社会的使命を果たしていきたいと願っております。

 本学会が取り組む必要がある課題は数多いのですが、その一つは、歴史研究の更なる質的向上と研究領域の多様性および拡張をはかることです。関連領域との学術的交流や国際的学術交流が、新たな研究上の挑戦を生み、こうした側面を強化してくれるはずです。そして、研究の質的向上に基づき、社会福祉教育における歴史的思考の有意性を対外的に働きかけていくことが重要です。もう一つは、歴史研究の発展をはかるうえで欠かせない史資料の発掘や保管および地道な地域史、施設史への取り組みと研究方法論探求の重要性です。

 社会福祉あるいは福祉の歴史研究が、高く、厚く、深いものとなるよう引きつづき取り組んでまいりますとともに、歴史的研究に関心をもつ多くのみなさまの本学会へのご参加をお待ち申し上げております。

  2015年5月10日
                              社会事業史学会会長 大友 昌子

第2期社会事業史学会会長就任にあたって ―社会福祉歴史研究の方向性―

 この度、2018年5月の社会事業史学会総会におきまして、第2期目の社会事業史学会会長にご選出をいただき、会長職に取り組ませていただくことになりました。この機会に、今後3年間の任期における所信表明を行いたいと思います。
 この所信表明では、本学会の理念に基づき、真に人々の生活に寄り添うための問題意識を共有しつつ、本学会が設立当初から掲げてきた理念をみなさまと共に継承し、社会的使命を果たしていきたいと願っております。そして今日の社会的、世界的状況のなかで本学会の役割を考察し、学会の向かうべき方向性について、所信を述べさせていただきます。

1.歴史的学術研究のグローバル化をすすめる
 科学的方法論のグローバルな共有によって、地球規模での学術の対話が成立することを、2018年5月の国際シンポジウムにおいて私は改めて深く理解しました。国境やイデオロギーという壁は、時に不協和音を伴いつつも、科学的方法論という世界に共有される知的ルールによって乗り越えることが出来、諸事象の共通認識に到達することができます。科学は万能ではありませんが、科学的方法論は世界に共有されている思考方法であり、国境を越えて平和や相互理解、さらには生活の質的向上をすすめる有効な手段であることに常に意識的でありたいと思います。国内の未見の社会事象に取り組むことはいうまでもありませんが、研究のナショナリズムから脱することを志向する時代が来ているといえましょう。学術研究のグローバル化には、もう1つ、学術や学問の壁を越えて思考することが必須となります。壁を越えて科学的方法論のスキルを磨くとともに、目を世界に向け、思考の自由を自らに許す、こうした研究スタンスが、いま、われわれに求められていると考えています。

2.歴史的学術研究の一層の質的向上をすすめる
 科学は実証的研究と理論的研究という2つの構成要素からなり、この2つの要素が組みあわさった時、学問として成立することを再確認したいと思います。「社会福祉学」の成立には、これが科学として、学術として市民権を得るために、先人たちによる多くの努力が積み重ねられてきました。時代は変わり、今日、社会福祉が大規模な国家的システムとして成立するなか、社会福祉をめぐる隣接諸科学による活発な研究が行われるようになっています。社会福祉の研究が分化し、多様化し、隣接諸科学と相互浸透していくことは、非常に重要な展開なのですが、一方で、分化する諸研究を踏まえつつ、社会福祉全体を相対化し得る視点が不可欠となってきます。歴史(的)研究はこうした社会福祉全体を相対化し得る視点を提供できる貴重な研究方法です。歴史(的)研究が学術全体のなかでどのような役割を果たしうるのか、このことに意識的でありたいと思います。今日、拡大分化する社会福祉研究のなかで、歴史(的)研究が相対的に縮小するなか、過去に学び、未来を思考する学術研究として歴史(的)研究の質的向上に努めることが、本学会の使命であると考えています。

3.「研究方法に自覚的であること」――社会福祉歴史研究の方向性――-
 研究の質的向上をめざすうえでの多岐にわたる重要項目のなかから、具体的な方法として、ここでは「研究方法に自覚的であること」を挙げてみます。「研究方法」とはそれ自体、歴史的社会的文化的産物であって変化していくものです。ですから正解はないのですが、私は、①未知なる事象をデータとして探索し続けること、②獲得したデータを組み合わせてどのような新たな解釈が可能かを探ること、がその中核となる要素であると考えています。①の未知なる事象のデータ化という探索にも、②の新たな解釈の探索、開発にも、限界のない広がりと深さがあることはいうまでもありません。この「研究方法」の「科学性」に「自覚的」でありたいと思っています。
 そして①のデータ探索のみに終わらず、②のデータに基づく新たな解釈の開発に努めることが、科学的学術として必須であることを重視したいと思います。
 無限の可能性をはらむデータ探索と、これも無限の可能性をはらむ新たな解釈に挑むことに躊躇せず、学術・学問の壁を越えていくこと、そして隣接諸科学がいかなる研究方法論を駆使しているのかにも注意を払いたいと思います。

4.社会事業史学会の今日的役割
 第二次世界大戦後にようやく市民的権利として芽を出した日本の社会福祉は、今や、国家的スケールに成長し、社会福祉がこの国の生活の隅々に浸透する社会になりました。社会福祉が日常のものとなるにつれ、それが歴史的生成物であることへの意識が希薄となるような状況が今日みられます。
 こうした時代に至った社会福祉歴史研究とは、どうあるべきなのでしょうか?
 その1つの方向として、私は、社会福祉歴史(的)研究を「社会福祉学」全体の基礎研究として位置づけることが出来るのではないかと考えています。そして「社会福祉学」全体のなかで、基礎研究が果たすべき課題やテーマは何かを、今日的時代的背景との関係で議論し、人間とその営みを尊重する哲学と倫理を研究の基盤に据え、科学としての研究の質的向上をすすめることが、われわれ社会事業史学会に課せられている役割であると考えるようになりました。

 社会事業史学会は、間もなく創立50周年を迎えようとしています。時代も変わりました。われわれは社会福祉歴史(的)研究における、新たな挑戦の時代に直面していると考えねばならないと思います。正解はありません。大いに議論を盛んにして、挑戦に寛容な学術環境の構築を目指したいと思います。

  2018年6月10日
                               社会事業史学会会長  大友 昌子

学会のあらまし

 社会事業史学会は、社会福祉の歴史研究を専門とする学術研究団体で、日本学術会議の協力研究団体として登録されています。

 1973(昭和48)年に「社会事業史の研究を通じ、社会福祉の科学的研究を高め、民主主義に基づいた日本社会福祉の進展に資することを目的」(学会規約第3条)として「社会事業史研究会」が発足しました。
 1998(平成10)年の「社会事業史学会」への改組に関する総会決定を経て、1999(平成11)年に現在の学会名での初めての大会が開催されました。

 主な学会活動、事業は、次の通りです。
1.毎年1回の研究大会と総会の開催(例年5月上旬)
2.学会機関誌その他刊行物の発行

 1) 学会機関誌『社会事業史研究』の年2回発行
 2)学会広報紙『社会事業史学会ニュースレター』の年1回以上の発行
 3)学会各種委員会の報告書等の発行
3.学会各種委員会の報告書等の発行
4.各種委員会の設置による社会福祉史に関する調査研究の実施。
 1)「社会福祉歴史教育委員会」を設置し、社会福祉の歴史教育のあり方等について調査研究を実施。
 2)「史資料問題委員会」を設置し、社会福祉に関する史資料の保存、活用等について調査研究を実施。

組織構成

理事・監事 (2018年度~2020年度)

現役員名と役割分担は以下の通りである。定例理事・監事会を年に4回(5月に2回、10月と3月に各1回)開催するほか、必要に応じて臨時理事・監事会を開催し、会務を掌っている。

理事

大友 昌子(中京大学)
会長/国際交流委員会/学会創設45周年記念事業委員会/研究倫理委員会(臨時)担当

理事

杉山 博昭(ノートルダム清心女子大学)
事務局長/文献賞審査委員会/学会連合担当

理事

元村 智明(金城大学)
編集委員会(委員長)/大会運営担当

理事

小池 桂(佛教大学)
事務局次長、学会連合担当

理事

今井 小の実(関西学院大学)
社会福祉歴史教育委員会(委員長)担当

理事

河合 隆平(金沢大学)
史資料問題委員会(委員長)担当

理事

菊池 義昭(東日本国際大学)
吉田久一研究奨励賞委員会(委員長)、編集委員会、史資料問題委員会担当

理事

蜂谷 俊隆(美作大学)
史資料問題委員会、『社会福祉史辞典』編集委員会、研究推進担当(辞典含む)、若手研究者支援担当

監事

西﨑 緑(島根大学)
監事/国際交流委員会(委員長)担当

監事

野口 友紀子(武蔵野大学)
監事/社会福祉歴史教育委員会/若手研究者支援/渉外・広報(HP)担当

編集委員会

機関誌『社会事業史研究』の編集を担っている。

委員長

元村 智明(金城大学)

委員

菊池 義昭(東日本国際大学)

委員

加藤 博史(龍谷大学短期大学部)

委員

鈴木 敏彦(和泉短期大学)

委員

野口 武悟(専修大学)

英文校閲(委員会外担当)

西﨑 緑(島根大学)

社会福祉歴史教育委員会

社会福祉の歴史教育のあり方等について調査研究を実施している。

委員長

今井 小の実(関西学院大学)

委員

野口 友紀子(武蔵野大学)

委員

池谷 秀登(帝京平成大学)

委員

岩崎 晋也(法政大学)

委員

宇都宮 みのり(愛知県立大学)

委員

倉持 史朗(同志社女子大学)

史資料問題委員会

社会福祉に関する史資料の保存、活用等について調査研究を実施している。

委員長

河合 隆平(金沢大学)

委員

菊池 義昭(東日本国際大学)

委員

蜂谷 俊隆(美作大学)

委員

阿久津 美紀(学習院大学)

委員

菅田 理一(鳥取短期大学)

委員

杉本 弘幸(佛教大学)

委員

高野 聡子(東洋大学)

委員

野口 武悟(専修大学)

委員

二井 仁美(北海道教育大学)

国際交流委員会

社会福祉史研究分野の国際交流を担っている。

委員長

西﨑 緑(島根大学)

委員

大友 昌子(中京大学)

委員

永岡 正己(日本福祉大学)

委員

沈 潔(日本女子大学)

委員

中野 智世(成城大学)

委員

伊藤 文人(日本福祉大学)

社会事業史文献賞審査委員会

社会事業史文献賞の審査を担っている。

委員長

小笠原 慶彰(神戸女子大学)

委員

杉山 博昭(ノートルダム清心女子大学)

委員

木原 活信(同志社大学)

委員

岩永 理恵(日本女子大学)

委員

田中 利光(敬和学園大学)

委員

菅沼 隆(立教大学)

吉田久一研究奨励賞審査委員会

吉田久一研究奨励賞の審査を担っている。

委員長

菊池 義昭(東日本国際大学)

委員

小笠原 慶彰(神戸女子大学)

委員

細井 勇(福岡県立大学)

委員

松本 園子(白梅学園大学)

委員

宮城 洋一郎(種智院大学)

学会創設45周年記念事業委員会

委員長

宇都 榮子(専修大学)

委員

永岡 正己(日本福祉大学)

委員

金子 光一(東洋大学)

委員

大友 昌子(中京大学)

社会福祉史辞典編纂委員会

委員

永岡 正己(日本福祉大学)

委員

室田 保夫(京都ノートルダム女子大学)

委員

蜂谷 俊隆(美作大学)

委員

柴田 謙治(金城学院大学)

研究倫理委員会(臨時)

委員長

大友 昌子(中京大学)

委員

菊池 義昭(東日本国際大学)

委員

永岡 正己(日本福祉大学)